一般と特例の相続税の納税猶予概要

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2 非上場株式等についての相続税の納税 猶予及び免除の特例の創設  

相続税についても、
一般の非上場株式等につい ての相続税の納税猶予制度(措法70の7の2。以 下「一般相続税猶予制度」といいます。)を基に、特例制度が創設されました。以下では、
一般相続 税猶予制度と異なる部分について説明します。

⑴ 制度の概要  
特例経営承継相続人等が、特例認定承継会社 の代表権を有していた一定の個人
(以下「特例 被相続人」といいます。)
から相続又は遺贈に よりその特例認定承継会社の非上場株式等の取 得
(平成30年1月1日から平成39年12月31日ま での間の最初のこの特例の適用に係る
相続又は 遺贈による取得
及びその取得の日から特例経営 承継期間の末日までの間
(注)に相続税の申告 書の提出期限が到来する相続又は遺贈による取 得に限ります。)
をした場合には、
その非上場 株式等のうち特例対象非上場株式等に係る納税 猶予分の相続税額に相当する相続税については、 相続税の申告期限までに一定の担保を提供した
場合に限り、その特例経営承継相続人等の死亡 の日までその納税が猶予されます

。  なお、その相続に係る相続税の申告期限まで に、共同相続人又は包括受遺者によってまだ分 割されていない非上場株式等は、この特例の適 用を受けることができません()。

(注) この特例の適用を受ける前に非上場株式等 についての贈与税の納税猶予制度の特例
(措 法70の7の5)の適用を受けている者につい ては、平成30年1月1日から平成39年12月31 日までの間の最初の贈与税の納税猶予制度の
特例(措法70の7の5)の適用に係る贈与の 日から特例経営承継期間の末日までの間とな ります
(措令40の8の6④)。

⑵ 特例認定承継会社の範囲  中小企業者のうち特例円滑化法認定()を受けた会社であって、
一般相続 税猶予制度と同様の要件を満たすものをいいま す

 なお、特例円滑化法認定を受けるためには、
上記1の特例と同様に、
認定経営革新等支援機 関の指導及び助言を受けて特例承継計画を作成 し、これについて、
平成35年3月31日までに都 道府県知事の確認を受ける必要があります

⑶ 特例経営承継相続人等の範囲

 上記1の特例と同様に、この特例における
特 例経営承継相続人等は、
1社につき3人まで適 用を受けることができることとされました。
相 続時における議決権数の要件についても上記1 の特例と同様です

 なお、同一の会社について、
一般相続税猶予 制度とこの特例を重複して適用することはでき ません
また、特例
経営承継相続人等は、
都道府県知事の確認を受 けた特例承継計画に定められた特例後継者であ る必要があります

⑷ 特例被相続人の範囲  
上記1の特例と同様に、同一の会社について、 複数の者からの相続又は遺贈についても適用を 受けることとされましたが、相続又は遺贈の時 期によって、特例被相続人の要件は以下のとお
り異なります()

① 最初の相続又は遺贈に係る特例被相続人
 その特例認定承継会社について最初にこの 特例を受ける場合の特例被相続人の要件は一 般相続税猶予制度と同様です。すなわち、
相 続の開始前において、
特例認定承継会社の代 表権を有していた個人で、
次に掲げる要件の 全てを満たすものをいいます。
イ 相続の開始の直前
(その個人がその相続 の開始の直前においてその特例認定承継会 社の代表権を有しない場合には、その個人 が代表権を有していた期間内のいずれかの
時及びその相続の開始の直前)において、
その個人及びその同族関係者の有するその 特例認定承継会社の非上場株式等に係る議 決権の数の合計が、その特例認定承継会社 の
総株主等議決権数の100分の50を超える 数であること

ロ 相続の開始の直前
(その個人がその相続 の開始の直前においてその特例認定承継会 社の代表権を有しない場合には、その個人 が代表権を有していた期間内のいずれかの
時及びその相続の開始の直前)
において、
その個人が有するその特例認定承継会社の 非上場株式等に係る議決権の数が、その個 人の同族関係者(その特例認定承継会社の 特例経営承継相続人等となる者を除きま
す。)のうちいずれの者が有するその非上 場株式等に係る議決権の数をも下回らないこと
② 2回目以降の相続又は遺贈に係る特例被相 続人  
その特例認定承継会社についてこの特例を 受けるための2回目以降の相続又は遺贈、す なわち、次に掲げる者のいずれかに該当する 者が存する場合の特例被相続人の要件は、特
例認定承継会社の非上場株式等を有していた 個人とされています。
イ その特例認定承継会社の非上場株式等に ついて、この特例、非上場株式等について の贈与税の納税猶予制度の特例
又は非上場株式等の特例贈与者 が死亡した場合の相続税の納税猶予制度の 特例の適用を受けて いる者

ロ 上記①の者からこの特例の適用に係る相 続又は遺贈によりその特例認定承継会社の 非上場株式等の取得をしている者でその相 続に係る相続税の申告期限が到来していな
いため、まだその申告をしていないもの ハ 特例贈与者から非上場株式等についての 贈与税の納税猶予制度の特例の規定の適用に係る贈与によりそ の特例認定贈与承継会社の非上場株式等の
取得をしている者で
その贈与に係る贈与税 の申告期限が到来していないため、まだそ の申告をしていないもの

⑸ 特例対象非上場株式等の範囲と納税猶予分の 相続税額  この特例の対象となる特例対象非上場株式等 とは、相続又は遺贈により取得した特例認定承
継会社の非上場株式等(議決権に制限のないも のに限ります。)のうち相続税の申告書にこの 特例の適用を受けようとする旨の記載があるも のをいいます。
なお、一般相続税猶予制度にお いては、発行済株式総数の3分の2までという 適用上限
がありますが、
上記1の特例と同様に、この特例にはこの制限はありません。

また、特例経営承継相続人等が 上記1の特例の適用を受けていた場合において、
上記1の特例の適用に係る特例贈与者がその相 続開始の直前に保有していた特例認定承継会社 の非上場株式等についてもこの特例の適用対象 となります。
 

一般相続税猶予制度では、非上場株式等の課 税価格の80%に対応する相続税額が納税猶予分 の相続税額とされていましたが、この特例では、 特例対象非上場株式等の課税価格の全てに対応
する相続税額が納税猶予分の相続税額とされて います

具体的には、この特例の適用に係る特例対象 非上場株式等の価額(その特例対象非上場株式 等に係る特例認定承継会社又はその特例認定承 継会社の特別関係会社であってその特例認定承
継会社との間に支配関係がある法人(以下「特 例認定承継会社等」といいます。)が外国会社 (その特例認定承継会社の特別関係会社に該当 するものに限ります。)等の株式等(投資信託
及び投資法人に関する法律に規定する投資口を 含みます。)を有する場合には、その特例認定 承継会社等がその株式等を有していなかったも のとして計算した価額)を特例経営承継相続人
等に係る相続税の課税価格とみなして、相続税 法第13条から第19条までの規定を適用して計算 したその特例経営承継相続人等の相続税の額が 納税猶予分の相続税額となります。

⑹ 特例経営承継期間  
上記1の特例と同様に、同一の会社について、 複数の被相続人からの相続又は遺贈が、また、 複数の特例経営承継相続人等がこの特例の適用 対象となったことに伴い、特例経営承継期間は、
この特例の適用を受けるための最初の相続に係 る相続税の申告書の提出期限(先に贈与税の納 税猶予制度の特例の適用を受けている場合には、 その最初の贈与に係る贈与税の申告書の提出期
限)から5年間とされています(措法70の7の6②六)。
⑺ 納税猶予期限が確定する場合(猶予税額の全 部又は一部の納付)  上記1の特例と同様に、一般相続税猶予制度 を準用していますので、これと同じ事由により
納税猶予期限が確定しますが、雇用確保要件 (5年間平均で8割確保)については準用して いません。したがって、特例経営承継期間の5 年間の平均の常時使用従業員数が相続開始時の
常時使用従業員数の8割を下回った場合であっ ても、これのみをもって納税猶予期限が確定す ることはありません(措法70の7の6③)。こ の場合における都道府県知事の確認を受ける手
続等は、上記1の特例と同様です

⑻ 経営環境の変化に対応した新たな減免制度の 創設  
上記1の特例と同様に、上記1⑻①から④ま での新たな減免制度が創設されました(措法70 の7の6⑬~⑳、措令40の8の6 ~ )。 3 非上場株式等の特例贈与者が死亡した
場合の相続税の課税の特例及び相続税の 納税猶予制度の特例の創設 ⑴ 相続税の課税の特例  一般贈与税猶予制度の贈与者が死亡した場合 と同様に、上記1の特例の適用を受ける特例経
営承継受贈者に係る特例贈与者が死亡した場合 には、その特例贈与者の死亡による相続又は遺 贈に係る相続税については、その特例経営承継 受贈者がその特例贈与者(注)から相続により
上記1の特例の適用に係る特例対象受贈非上場 株式等の取得をしたものとみなします。この場 合において、その死亡による相続又は遺贈に係 る相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき特例対象受贈非上場株式等の価額については、
その特例贈与者から上記1の特例の適用に係る 贈与により取得をした特例対象受贈非上場株式 等のその贈与の時における価額を基礎として計 算します(措法70の7の7①)。
(注) 特例対象受贈非上場株式等が、特例経営承 継受贈者である特例贈与者又は経営承継受贈 者である特例贈与者からの免除対象贈与(そ の非上場株式等について受贈者が贈与税の納
税猶予制度の適用を受ける場合における贈与 をいいます。)により取得したものである場合 におけるその特例対象受贈非上場株式等に係 る贈与税については、免除対象贈与をした最
初の特例経営承継受贈者又は経営承継受贈者 にその特例対象受贈非上場株式等の贈与をし た者となり、特例対象受贈非上場株式等の価 額については、この贈与の時における価額と
なります(措法70の7の7②)。
⑵ 相続税の納税猶予制度の特例  特例経営相続承継受贈者が、上記⑴により特 例対象受贈非上場株式等を特例贈与者から相続 又は遺贈により取得をしたものとみなされた場 合には、特例対象相続非上場株式等に係る納税 猶予分の相続税額に相当する相続税については、 相続税の申告期限までに一定の担保を提供した 場合に限り、上記2の特例と同様に、その特例 経営相続承継受贈者の死亡の日までその納税が 猶予されます(措法70の7の8①)。なお、上 記2の特例は、相続又は遺贈による取得の期限 が定められていますが、この特例にはありませ ん。したがって、上記1の特例の適用に係る贈 与が期限内にされていれば、上記1の特例の適 用に係る特例贈与者の死亡の時期にかかわらず、 この特例の適用を受けることができます。


5一般の 非上場株式等についての納税猶予制度についても 以下の改正が行われました。

⑴ 用語の整理  
適用対象となる非上場株式等については、これまで
「特例受贈非上場株式等」、「特例非上場 株式等」又は「特例相続非上場株式等」とされ ていましたが、
新たに特例制度を設けましたの で、これと区別するため、適用対象となる非上 場株式等については、

「対象受贈非上場株式等」、
「対象非上場株式等」又は
「対象相続非上場株 式等」
に改められました。
⑵ 贈与者及び被相続人の要件  に、複数の者か らの贈与又は相続についても適用できることと されたことに伴い、
贈与者及び被相続人の要件 は以下のとおりとされました。
① その認定(贈与)
承継会社について最初の 贈与税又は相続税の納税猶予制度の適用に係 る贈与に係る贈与者又は相続若しくは遺贈に 係る被相続人の要件は、改正前と同様です。

② その認定(贈与)承継会社について、上記 ①の贈与又は相続若しくは遺贈の後、
他の贈 与者又は被相続人から贈与又は相続若しくは 遺贈を受ける場合における当該他の贈与者又
は被相続人の要件は、
認定(贈与)承継会社 の非上場株式等を有していた個人
(贈与の場 合には、加えて、その贈与の時において当該 認定贈与承継会社の代表権を有していないも の)とされました。

⑶ 経営贈与承継期間等の改正  上記⑵のとおり、
複数の贈与者からの贈与に ついて、贈与税の納税猶予制度の適用を受ける ことができるようになりましたが、
経営贈与承 継期間は、この制度の適用を受けるための最初 の贈与に係る贈与税の申告書の提出期限(先に 相続税の納税猶予制度の適用を受けている場合
には、
その最初の相続に係る相続税の申告書の提出期限)から5年間とされています。  また、
雇用確保要件
(5年間平均で8割確 保)は、
対象受贈非上場株式等に係る認定贈与 承継会社の非上場株式等について贈与税の納税 猶予制度又は相続税の納税猶予制度の適用を受 けるために提出する最初の贈与税の申告書又は
相続税の申告期限の翌日から同日以後5年を経 過する日

(経営承継受贈者又はその経営承継受 贈者に係る贈与者が同日までに死亡した場合に は、
その死亡の日の前日)
までの期間で判定す ることとされました
。  なお、上記の改正は、相続税の納税猶予制度 においても同様に行われています。
Ⅲ 適用関係  上記Ⅱの改正は、平成30年1月1日以後に贈与 又は相続若しくは遺贈により取得する非上場株式 等について適用されます。  
上記Ⅱの改正前に一般の非上場株式等について の納税猶予制度の適用を受けていた者についても、
経営 (贈与又は相続)承継期間内であれば、
他の贈与 者又は被相続人から贈与又は相続若しくは遺贈に より取得した非上場株式等について、この制度の 適用を受けることができます。