破産と貸倒損失、貸倒引当金について

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破産と貸倒損失、貸倒引当金について

(1)貸倒損失

① 債務者の債務超過の状況が相当期間継続し、
その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合で、
その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額は、
その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
② 法人の有する金銭債権につき、
その債務者の資産状況、支払能力等からみて
その全額が回収できないことが明らかになった場合には、
その明らかになった事業年度において貸し倒れとして損金経理をすることができる。
①②についてはその事実の疎明が必要である。
平成20年6月26日の国税不服審判所の裁決事例では、
法人の破産手続きにおいては配当されなかった部分の破産債権を法的に消滅させる免責手続きはないが、
裁判所が、破産法人に財産はないことを公証の上で廃止決定または終結決定を出し、
法人の登記が閉鎖される。
この決定がなされた時点で破産法人は消滅するため、
破産法人に分配可能な財産がないのは明らかである。
その時点が貸倒れの時期となる。なお、破産手続の終結前であっても、
破産管財人から配当金額が0円であることの証明がある場合や、
その証明が受けられない場合であっても、債務者の資産の処分が終了し、
今後の回収が見込まれないまま破産終結までに相当な期間がかかるときは、
破産終結決定前であっても、配当がないことが明らかな場合は、
貸倒損失として損金経理を行い、損金の額に算入することも認められる旨が示されている。
③ 継続的な取引で、債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合、
売掛債権について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を
貸倒れとして損金経理をしたときは、貸倒損失に計上できる。

(2)貸倒引当金
法人税法、法人税法施行令では、
破産法の規定による破産手続開始の申立ての事由が生じている場合、
当該個別評価金銭債権の額(実質的に債権とみられない部分の金額等を除く。)
の50/100 に相当する金額に達するまでの金額は、
当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入すると規定されている。
また、個別評価金銭債権について、
債務超過の状態が相当期間継続し、
その営む事業に好転の見通しがない場合等により、
その取立ての見込みがないと認められる金額は貸倒引当金に繰り入れできる。
なお、配当が見込まれる場合には、
破産管財人から配当見込みの報告書を入手することによって、
配当見込額を除いた部分を回収不能見込額として
貸倒引当金の計上を行う方法も可能であると記載した書物もある。
いずれにしろ税務当局を納得させる疎明資料が必要になる。
裁判所の司法統計月報によると
平成19年の法人の破産事件のうち配当があったものは約30.5%である。
また、平成16年のデータになるが配当率が10%未満のものは70%であり、
50%を超え超えるものは、わずか4.1%である
税理士  堤友幸が税理士会埼玉県支部 月例誌に

寄稿した論文の一部である

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